黒にんにくは、通常の白いにんにくを一定温度・湿度を保った状態で1ヶ月程度発酵・熟成したにんにくのことを言います。
熟成するにつれて白色から茶色になり、最終的には黒く変化します。
基本的に添加物を使わずに熟成され、栄養がとても豊富です。熟成の仕方や日数、にんにくのブランドによって味は様々ですが、基本的ににんにくのような強烈な臭いや辛味はなくドライフルーツのような甘酸っぱい味になり 、そのまま食べられるのが特徴です。
嬉しいことに黒にんにくは、たくさん食べたからと言って翌日に臭いませんし、生のにんにくを食べた時のような胃への刺激も少なく年配の方から小さいお子様まで幅広く食べられます。
ただし、サプリを大量に摂取しても意味がないように、黒にんにくも適切な量である1日1~2片くらいを毎日継続して食べると良いでしょう。また、黒く変色するのは発酵しているわけではなく、メイラード反応によるもので玉ねぎを炒めると飴色に変わったり、黒ビールやチョコレートもこのメイラード反応で変色しています。
まず通常のにんにくの歴史は非常に長く、紀元前4000年頃の古代エジプトでピラミッド建設に携わった労働者に、大量のにんにくを支給したという記録が残っています。
ギリシャや古代ローマでもにんにくは人気で、肉体労働後に食べると失われた栄養を補えると農民から兵士まで愛されて食べられていました。
日本には今からおよそ1200年前にインドから中国を経由して当時の奈良時代に伝わりました。当時はその独特の香りや刺激の強い味のせいで、毛嫌いする人が多くあまり食べられていなかったそうです。
そして、黒にんにくが誕生したのは2000年代に入ってからと意外と歴史が浅いです。
黒にんにくは三重県尾鷲(おわせ)で濱野濱助氏を中心とした開発者たちが、にんにくを美味しく食べられるよう試行錯誤して開発したのが始まりだと言われています。
研究から5年後、紆余曲折を経て黒にんにくは商品化に成功しました。
さらに弘前大学医学部教授、佐々木甚一博士の研究成果が新聞などのメディアで大きく取り上げられることで、黒にんにくは一躍有名になりました。
その後、にんにくの名産地である青森で黒にんにくは多く生産されるようになり現在では九州産や四国産の黒にんにくも増えてきています。
最後に余談ですが、にんにくの語源をご存知でしょうか?
1つは仏教用語で「忍辱(にんにく)」という、我慢を意味する言葉です。
黒にんにくにする術がなかった時代、にんにくは生のまま口にするしかありませんでした。
独特の味や強い臭いに耐えながら、食べていたとされ「我慢=にんにく」として広まった説がひとつ。
2つ目はにんにくの独特な臭いに由来しているという説で、強烈な臭いを憎むとして「匂悪・匂憎(においにくむ)」という言葉があり、それが変化してにんにくになったとされています。
いずれにしても、にんにくの名前の由来には、その独特の味や臭いが関わっている可能性が高そうです。 我慢や憎むが語源なんて少し同情してしまいます。
今ではにんにくは、調理方法など研究されて滋養や健康に欠かせない食材です。
世界中の料理にも使われ「我慢」や「憎む」から程遠いイメージですよね。
将来黒にんにくが、にんにくのマイナスイメージを払拭してさらに多くの人に愛される食材になったあかつきには、昔の我慢や憎むでつけられた名前を改名してあげてもいいかも知れませんね。